フードストーリー

Story

フードストーリー

文化とアイデンティティを
確かなものにするミッション
-アディバシの食文化の再生-

 私はアルーナ・ターキーです。私はインド東部のジャーカンド州のオラオンと呼ばれる先住民コミュニティの出です、ジャールカンド州の人口の25%はアディバシ人(先住民)で、州の29%は森林に覆われています。1万とも言われる木々に囲まれた村の住民は、自然資源に大きく依存しています。ある民族植物学の研究によると、アディバシの知識体系は9,000種以上の野生植物に通じているそうです。


 私は幸運にも、アディバシの郷士料理をこよなく愛する両親の元で育ちました。先住民の食べ物を日常的に食べてきた家庭の出身なので、私は日常生活の中で食べ物に関連した文化的慣習に触れることができました。また、私は"私たちは私たちの食べたものでできている"という言葉を強く信じています。それでいつも、自分たちのルーツにこだわり、食べ物は自分たちの一部であることを心に留めておくよう、人々に伝えているのです。

 

 ジャールカンド州のアディバシ料理は、栄養や薬効が非常に豊富です。しかしながら、近代化、商業化、ファーストフードの流行などの影響で、人々の食生活のパターンや嗜好が変化し、地域の食システムは次第に弱体化しています。また、先住民が暮らす中心地ににおける大規模な採掘開発は、天然資源を枯渇させ、先住民コミュニティのさらなる収奪と疎外につながり、より多くの人々が食糧不足に直面するようになりました。

 

 私は15年以上にわたって、コミュニティの健康、女性の地位向上、自然資源管理、生計向上、森林の権利といった分野で実地活動してきた経験から、地元の食料システムの喪失は、アイデンティと文化の喪失であると考えるようになりました。地元の食料システムが失われることは、雇用の減少や人口流出の増加を招き、若者たちが地元文化から疎遠になっていくことを意味しています。

 

 だからこそ私は2016年に、「季節ごとの多様な食材を使った伝統的なアディバシ料理を、すべての先住民家族の食卓に取り戻す」という目標を立てました。アディバシ料理を復活させることは、安全で健康的な食事をすることであリ、人々の生活と収入の機会を確保することでもあると確信しています。ワークショップでは、基本的であると同時に非常に重要な食材であるブラックグラムとシコクビエを使った料理をいくつか紹介しました。どちらも数千年の歴史を持つ食材です。

 

 シコクビエ(Eleusinecoracana)は、アフリカやアジアの乾燥・半乾燥地域で穀物として広く栽培されている一年生植物です。かつてはジャールカンド州のアディバシ・コミュニティーの主食として食べられていました。栽培が容易で、ビタミン、ミネラル、食物繊維、カリウムなど豊富な栄養を含んでいます。ブラックグラム(Vignamungo)は南アジアが原産地で、古くから栽培されており、インドで最も珍重されている豆類の一つです。インド料理でとても広く使われています。

 

 それでは、手順に沿ってアディバシ料理を作り食卓に並べましょう!

ここに共有されている一つ一つのストーリーは、「(先住民である)自分自身のこれまでの歩みや取り組みを、個人的な喜びや葛藤も含めて伝えることで、この地球上のどこかで同じ様な壁に直面している仲間を励ますことができれば」「これから自分のコミュニティでも何かを始めたいと思っている人が、勇気をもって一歩前に進むきっかけになれば」という願いのもと、公開されています。

一方、先住民が大切に守り培ってきた文化や資源の盗用や、商業化による搾取の歴史は現代もなお続いています。そして、それは人々の無意識の内に起こっていることも多分にあります。ここに掲載されているストーリーや、登場する人や物・文化について、何かご活用をお考えの方は、無断で使用することなく、本人または事務局に一声かけ確認を取るなど、互いに敬意を払い、気持ちの良い関係を育んでくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

国籍や民族、分野の垣根を超えて、よりよい社会づくりのために課題解決のために取り組む仲間として、情報交換をし、励ましあいながら、手を取り合って一緒に進んでいけることを願っています。
ご一読いただき、ありがとうございます。