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My Daily Sherpa Dish — Ordinary but Valuable!

(英語翻訳) 有名なヒマラヤ山脈を通して、シェルパの民について耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、私たちシェルパとは、ヒマラヤ登頂だけの存在ではありません。私たちはチベットをルーツに持ち、標高2000~3000m の高地に住み、何世代にもわたって厳しい環境を生き抜いてきた民族として、独自の文化や伝統、そして独自の料理を持っているのです。もともと遊牧民だったシェルパは、15 世紀頃からネパール北東部のエベレスト周辺の高地に移住し、数百年にわたり商人、牧畜民、農民として生計を立ててきました。

 

 私たちが住んでいる地域はとても寒いです。そのため私たちの村で栽培できる作物といえば、ジャガイモ、トウモロコシ、そして在来の豆類くらいなのです。全ての作物は夏に天日干しをします、厳しい冬に備えストックしておかなければなりません。ハイブリッド品種は、このような寒さと高地では生き残ることができないのです。私はネパール出身23 歳のシェルパ、名前はパサンです。私が紹介したいシェルパ料理は2 つあります。これらは、家庭の味で、愛情のレシピです。ひとつは、シェルパ料理の主食である‘’ファルギ’’、トウモロコシと豆に野菜を混ぜて作るスープです。この料理の主原料であるトウモロコシは標高3,000 メートル以下の場所でしか育ちません。ネパールのソルクフンブ村にあるドゥズムは、トウモロコシが栽培できる最も標高の高い村と言われています。ファルギには、“ヤーマン’’ど‘ロンバ’’という特別な香辛料を使います。ヤーマンはネパール在来の唐辛子で、英語ではティムットペッパーと呼ばれています。パッションフルーツやグレープフルーツに似た香りがあり、ビタミンA が豊富で、炎症を抑えたり、消化を良くしたり、体を温めたりする働きがります。ロンバはこの地で栽培されるニンニクで、咳や風邪によく効きます。私たちは冬になるとファルギを毎日食べて、体を温め、健康を維持します。もう耐えられないと思うほど寒い日に食卓に並ぶファルギを目にすると、それはもう、本当にほっとする瞬間です。

 

 もうひとつ知っていただきたいのは、‘‘リルドック’’という、潰したジャガイモにスパイスとニンニクを加えたスープです。私たちはリルドウックを、ほぼ年間を通じて食べます。このジャガイモは高地で栽培されるため、とても小さくて粘りのある性質を持っています。

 

 シェルパの子どもたちは、幼い頃から親の背中を見て、食の知識や料理の仕方を学び、少しずつ台所仕事を任されるようになります。私も幼い頃にリルドック作りを習いましたが、祖父母の力強い手と深い愛情で作られたリルドックの味はいつ食べても最高で、何ものにも代えがたいものがあります。

 

 しかし、今、この家族の味、愛情のレシピが脅かされています。若い世代が西洋の定義でいうところの‘‘近代化’’を遂げ、ライフスタイルや働き方が変わり、食のあリ方も変わってきているのです。若い世代は本当に強く西洋の文化や食の影響を受けています。また、気候変動による様々な影響も、私たちの文化や伝統を弱体化させる一因となっています。異常気象や気候の急激な変化により、作物を栽培するための環境条件が変化し、大気汚染や土壌汚染が都市部だけでなく、ソルクンブなどの地方にも及んでいるのです。

 

 そこで私は、シェルパが日常的に食べているこの2 つの料理を紹介したいと思いつきました。もし、私たちが自分たちの文化や伝統を維持するための行動を怠れば、こんなにも普通でありふれた食べ物でさえ、私たちの日常から消えてしまうのだということを、多くの人々に思い出してもらいたいからです。

 

パサン・ラマ

Slow Food Youth Network 運営委員会メンバー

‘Sherpa Culture and Cuisine, Indigenous Ing red ients:著者

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